むち打ち症は、受傷直後は無症状であっても、時間が経つにつれて症状が出てくることがあります。
あるグループの調査によると、受傷者の約50%は完治せずに症状が慢性化している、というデータもあるのです。
首の痛みだけでなく、時間と共に肩や背中、腕にわたってこり症状や痛み、しびれなどの症状を伴うような症状も起こる可能性があり、日常生活にも支障が生じ、QOL(生活の質)が低下しがちです。
また。症状の慢性化に伴って、心配や不安感がつのっていく方も少なくありません。
このページでは、むち打ち症の症状緩和にむけて、原因や症状など、正しく理解することからはじめてみましょう。
目次
むち打ち症とは?
むち打ちとは、交通事故やスポーツなど、急激な衝撃によって、重い頭が振り子のように作用し、首が過伸展、過屈曲などの動きが強いられるため、首回りの軟部組織(筋肉、腱、靭帯、神経、結合組織、関節包など)に損傷が起こり、痛みなどが生じることです。
鞭(ムチ)のような急激な動きによって生じることから、”むち打ち”、”むち打ち症”、”むち打ち損傷” などと呼ばれ、英語では ”Whiplash Associated Disorder (WAD)” と呼ばれます。
しかし、この名称は俗称で、医学的な傷病名としては、「外傷性頚部症候群」や「頚椎捻挫」、「頚部挫傷」などの名称が使われています。
首の痛みなどの症状は、受傷直後から起きることもありますが、数日経ってから徐々に症状が起きてくることもあるので注意が必要です。
むち打ち症の原因は?
主に交通事故の後ろから衝突された時に起きることが知られていますが、その他にも次のようなことでも起こります。
- 転倒により後頭部をぶつける
- スキーやスノーボードで転倒
- ラグビーやアメリカンフットボール、サッカーなど、タックルなどの激しいコンタクトを伴うスポーツ
- 自転車の転倒
- 急ブレーキ
日常的なことからスポーツなど、強い外力や転倒などによって起こりうる症状なのです。
むち打ち症の症状
一言でむち打ち症といっても、症状は多岐にわたります。
- 首から肩、背中にかてて、痛い、ズキズキする、だるい、こり感
- 腕や手が痛い、しびれる、重くだるい
- 顔が痛い
- 吐き気
- 倦怠感、微熱、疲労感
- 顎関節痛
- 動作に伴う痛みの増悪
- 首の筋肉の硬直 などです。
時間と共に、二次障害が起きてくると、
- 痛い場所が変化する、波がある
- 不眠
- 頭痛
- 耳鳴り、めまい
- 眼精疲労、目のかすみ
- 雨の日や、低気圧天気の変化で症状が悪化する
- 集中力の低下
病院でレントゲンなど画像検査を受けても、むち打ち症の特徴的な所見はありません。
画像検査で異常所見があれば、それはむち打ち症ではありません。
たとえば、骨折、頚椎椎間板ヘルニアなどがありますが、これらを除外するためにも、病院での検査は必要となります。
むち打ち症の分類
むち打ち症は一般的に、次の4つに分類されます。
1.頚椎捻挫型
むち打ち症の約7~8割が該当するとされる最もポピュラーなむち打ち症のタイプです。
頚椎を支える靭帯や結合組織、関節包(関節を包む袋状の結合組織で関節液を蓄えている)に損傷が生じることで発症すると考えられています。
頚椎周り(首の後ろや首の前面、側面、頭部、頸椎など)に痛みや重苦しさがおこり、首や肩上部、背中などにこり症状が出ることもあります。
また、首や肩の痛みによる運動制限(可動域制限)がおこります。
重い頭を支えている首に起こる頸椎捻挫と、手や足に起こる捻挫に比べ、回復に時間を要することが少なくありません。
頚椎捻挫型で症状が起きる部位
2.神経根損傷型
頚椎の脇から、脊髄から枝分かれして上肢の方に末梢神経が伸びています。
この末梢神経の根元の神経根部が、受傷時に圧迫を受けて症状が生じるタイプのむち打ちです。
首の痛みの他に、上肢への末梢神経の伝達が阻害されるので、さまざまな症状を引き起こします。
- 首から上肢に痛みやしびれ、放散痛などの知覚神経の症状
- 上肢が動かしにくくなる運動神経の症状や筋力の低下
- 後頭部の痛み
- 顔面痛 など
上肢の腱反射の低下や、ジャクソンテンスと、スパーリングテストという徒手検査が陽性になることで判別されます。
神経根型むち打ち症
3.バレ・リュー症状型
“自律神経障害型” とも言われるタイプで、神経根損傷型と似ていますが、損傷を受ける神経が自律神経のケースを言います。
全身にめぐる自律神経が損傷を受けるため、自律神経症状が生じ、慢性化する傾向が強いようです。
自律神経症状とは、頭痛、まめい、耳鳴り、吐き気、喉のつかえ感、不眠症、倦怠感、目のかすみ、眼精疲労などで、受傷した首とは関係がない全身に症状が及びます。
受傷から数年経ち、忘れたころに発症することもあるので注意が必要です。
バレリュー型むち打ち症
4.脊髄損傷型
“頚椎症性脊髄症” や “脊髄症状型” とも言われますが、脊髄自体に損傷が生じるタイプのむち打ちです。
元々脊柱管狭窄症や後縦靭帯骨化症など、脊柱管が狭くなっている者に衝撃が加わることで発症すると考えられています。
このタイプの特徴は、下肢にも症状が起こることです。
下肢の痛み、しびれ、知覚障害や、運動障害、筋力低下がおこり、歩行障害も起こります。
また、直腸膀胱障害がおこり、排便・排尿に支障が起こります。
厳密に言えは、このタイプは脊髄損傷にあたるので、むち打ち症ではありません。
脊髄損傷型むち打ち症
むち打ち症の一般的な治療法と治療期間
受傷直後の炎症がある急性期と、炎症が収まる慢性期に分けて、一般的な治療は以下の通りです。
急性期
急性期は受傷直後で炎症がある時期です。
安静を保つことが大切で、痛み止めなどの飲み薬、頸椎カラーによる固定などを行います。
症状の程度にもよりますが、受傷直後2週間程度は、仕事などは休むことが望ましいとも言われており、自己判断でストレッチや運動などを行うと症状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
慢性期
リハビリを行う時期です。
損傷は、おおよそ3ヶ月程度の期間をかけて、徐々に修復されていきますが、症状は完全には回復せず、慢性化してしまうこともあります。
あるグループの調査では、約半数の患者に症状が慢性化するというデータもあり、数年経過した後になってPET検査を実施した例では、損傷が残っていることが確認できたという論文もあるようです。
症状を残さないように、この時期にしっかりとリハビリを行いつつ、損傷部位を回復させていくことが必要です。
この時期に鍼灸を受けていただくと、患部の回復を促していくことに寄与いたします。
病院への通院
病院への通院は、単に治療を受けるためでなく、保険の請求の際には必要であるため、定期的に病院に通院する必要があります。
治療が終了するまでの期間は、一般的には約3ヶ月、後遺症が残る場合は6カ月以上治療の通院が必要となるケースもあります。
保険の請求をする際には自己判断せず、医師と相談する必要があり、医師のだす診断書の内容が基準となります。
そのため、通院の頻度は、月に10回程度、少なくとも1か月に1~2回は必要で、医師への報告と相談が必要です。
この記事を書いた【アキュモード鍼灸院】について
当院では、東京都港区北青山(外苑前/表参道)にある女性専用の女性のための鍼灸院です。
女性ならではの不調、日常的なこりや痛み、自律神経のトラブルなどに対し、鍼灸施術を行い、健康管理のサポートを行っております。
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同じ女性だからこそ、かゆいところに手が届くような施術を心を込めて丁寧に、マンツーマン対応させていただきます。
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