更年期のつらい症状は、ツボ押しで和らげることができます!

更年期の女性には、イライラやホットフラッシュ、自律神経の乱れなど多くの不快な症状が現れます。

本記事ではそんな症状の改善が期待できる、ツボについてご紹介します。

効果的なツボ・押し方をチェックして、更年期特有のつらい症状を改善しましょう。

更年期の不調

更年期は、女性の閉経期前後の約10年間(45~55歳頃)をさします。

更年期になるとエストロゲン(女性ホルモンの1つ)の分泌が急激に減少し、それにより女性たちの心と体に様々な不快な症状=更年期症状が現れるようになります。

個人差はありますが、更年期の多くの女性がイライラや倦怠感、ほてりや発汗、ときには日常生活に支障をきたすほどの強い更年期障害に悩まされています。

イライラや不安感

更年期になるとイライラしたり、不安を感じやすくなったりと感情がうまくコントロールできなくなる事が多くなります。

これは、脳の興奮を抑えて心身をリラックスさせる効果がある「幸せホルモン」、セロトニンの分泌量が少なくなるためです。
セロトニンが不足するとイライラや不安・恐怖などのストレスを感じやすくなってしまいます。
症状の重い方では、不眠やうつ症状を併発して、日常生活に支障をきたしてしまう事もあります。

ホットフラッシュ

のぼせ・ほてり・発汗などの症状は「ホットフラッシュ」と呼ばれ、更年期症状の代表的な症状とされています。
一日に何度も、突然顔がのぼせて汗が止まらなくなる症状が繰り返し起こります。

症状自体は長くても30分程度で収まりますが、発汗の恥ずかしさや不快感により、人前に出ることを億劫に感じてふさぎこんでしまう方も少なくありません。

自律神経の乱れ

自律神経は、生きていく上で必要不可欠な働きをし、なおかつ自分の意思では制御できない部分を調整する働きをしています。(血圧、心拍、体温、呼吸、消化、代謝、排尿・排便など)

更年期になるとこの自律神経をつかさどる脳の視床下部に乱れが生じて、心と体に様々な不調を感じるようになります。

  • 慢性的な肩こり・首こり・腰痛
  • めまい・耳鳴り・頭痛
  • 動悸・息切れ
  • だるさ・気分の落ち込み
  • イライラしやすくなる・落ち込みやすくなる
  • 睡眠障害 など

更年期におすすめのツボ

ツボ押しは、古くから更年期症状を解消させる療法として行われてきました。
日々の生活に簡単に取り入れられるツボ押しで、更年期の不快な症状を和らげましょう。

三陰交(さんいんこう)

ツボの三陰交(さんいんこう)

【効果】ホットフラッシュ、冷え、むくみ、生理のトラブルに。

【場所】内くるぶしの一番高いところから、指4本分上の高さで、骨の後ろ、筋肉との境目。

三陰交は生理・妊娠・出産・更年期など女性特有の体の変化によって引き起こる様々な不調の改善が期待できる「女性のツボ」です。

三陰交は特に”血”の病に対して効果が高いと言われ、ホットフラッシュや冷え、むくみといった症状に悩んでいる場合におすすめです。

親指の腹を使って5秒間、ゆっくりと、痛気持ちがいいと感じるくらいの強さで押します。
これを、左右それぞれ5回ずつ繰り返します。

神門(しんもん)

ツボの紙門(しんもん)

【効果】イライラ・不安感の解消、精神の安定に。

【場所】手首の掌側のシワの上で、小指側にある腱の内側(親指側)のくぼんだ場所。

神門は精神を安定させるツボです。
更年期のイライラやストレスで乱れた心を落ち着かせ、精神を安定させる効果が期待できます。

また、神門は睡眠障害を改善するともいわれており、夜寝る前のツボ押しも効果的です。

親指の腹で優しく5~6秒、左右合わせて30回程度指圧しましょう。

太衝(たいしょう)

ツボの太衝(たいしょう)

【効果】ほてり・のぼせ等のホットフラッシュ、気がのぼった症状に。

【場所】足の甲、親指と人差し指の水かきからさらに足首の方向に向かったところで、骨がV字になっているところの凹み。

太衝は、ほてりやのぼせといったホットフラッシュの症状や、ホルモンバランスの調整に効果的です。
また、太衝は「ストレス解消」のツボとしても知られています。

深呼吸をしながらじっくり押すことで更年期症状のストレスを和らげてくれますよ。

百会(ひゃくえ)

ツボの百会(ひゃくえ)

【効果】自律神経を整え、倦怠感の解消。疲労回復、リラックスの効果。

【場所】頭のてっぺんで、両耳を結んだ線と正中線(顔の真ん中)が交わる交点。髪の毛の生え際から指7本分上の場所。

百会は全身のエネルギーが集中する場所とされ、自律神経を整えてくれる効果の他にも特に、顔の発汗にお悩みの方におすすめです。

また、全身の倦怠感や疲労感を解消するだけでなく、気分の落ち込みにも効果があります。

両手の人差し指と中指を使って、頭も中心に向かってゆっくり気持ち良いと感じる程度の強さで押してみたり、軽く叩いてみるのもおすすめです。

ツボ押しの効果と具体的な方法

どのようにツボを押したらより効果的なのか、具体的な方法をご紹介します。

適切な力加減

ツボ押しの際は、力いっぱいにただ押せば良いというわけではなく、適切な力加減が大切です。

不調な場所ほど、刺激すると硬く感じる時や痛い時があるため、初めはゆっくり圧を加えて、気持ち良いと感じるくらいの強さで5秒間ほどを目安にツボを押してみましょう。

もう少し強めの刺激が好みの場合は、押した状態でその場でゆっくり小さな円を描くように刺激するのもおすすめです。

また、指の力が弱い方の場合には、両手の親指を重ねて押してみたり、手根(手のひらの手首に近い部分)を使って押してみましょう。
(市販のツボ押し棒を使うと、強く押し気味になるので、今回紹介しているツボに対しては、使わない方がよいと思います。)

ツボ押しのタイミング

ツボ押しに効果的とされるタイミングは以下の通りです。

  1. 朝起きた直後
  2. 仕事の合間
  3. 夜寝る前
  4. ホットフラッシュなど更年期特有の症状を感じた時

これらのタイミングでツボ押しを行うことがおすすめですが、自分に合ったタイミングで行うことが大切です。

ツボ押しの際に、お気に入りのアロマオイルやボディクリームを使うと、リラックスしながらツボ押しをすることができるので、効果を感じやすく、症状がやわらぎやすいとなります。

しかし、飲酒時や飲酒後、入浴時や入浴直後にツボ押しをすると、かえって気分が悪くなってしまうこともあるため、避けるようにしましょう。

ツボ押しの頻度と継続

ツボ押しの頻度は、気になる症状があるうちは、できれば毎日行うことが理想的です。

更年期の症状やストレスを日常的に感じる場合は、少しずつでも毎日継続して行うようにして、体の変化に意識していきましょう。

ホットフラッシュをその場で抑えたい場合などには、「百会」や「太衝」をツボ押しすると即効性があるので試してみてください。

鍼灸やマッサージの併用

セルフケアだけでは、更年期の症状がなかなか改善しないケースもあります。

強い更年期症状にお悩みの場合は、鍼灸マッサージの併用がおすすめです。

薬に頼らず不調を軽減する方法

鍼灸マッサージは、伝統的な東洋医学の療法で、鍼(はり)と灸(きゅう)を使って体のエネルギーの流れを調整し、崩れたバランスを整えることで、痛みや不調を改善する治療方法です。

鍼灸マッサージは体が本来持ち備えている『自然治癒力』を活性化する手助けをする方法であり、薬物を使わずに体調を整えることができます。
薬物が使えない方、薬物を使いたくない方、薬物の副作用が心配な方などにとてもおすすめです。

特に、更年期の女性が抱える日常のストレスや心身の不調を改善し、健康を取り戻すための選択肢として魅力的な治療法です。

身体を軽くするためのポイント

鍼灸治療やマッサージでは、各人の体質や症状に応じたオーダーメイドの施術を行うので、個別に合ったアプローチができるというところが大きなポイントです。

個人個人の症状に合わせて、特に効果的とされるツボに対し、鍼と灸を使い分けて的確に刺激を与えていきます。

鍼灸マッサージは更年期症状の改善をはじめとした、身体と心の健康をサポートするための優れた選択肢といえます。

まとめ

更年期の症状を和らげるためには、日常生活に取り入れやすいツボ押しが効果的です。

例えば、「三陰交」はホットフラッシュや冷え、むくみに、「神門」はイライラや不安感の軽減に効果が期待できます。
他にもストレスを和らげる「太衝」や、自律神経を整えて倦怠感を軽減する「百会」などもあります。

更年期における心身の不調をサポートする有効な方法である「ツボ押し」を、自身の症状に合わせて取り入れてみましょう。