”基礎体温” について、どのようなイメージを持ち、ご存知でしょうか?
”基礎体温” についての教育は、さかのぼること高校の保険の授業だったように思います。
とにかく継続して測定し、折れ線グラフを描いていくことで、生理周期を把握したり、見えない女性のカラダの中の状態やホルモンバランスを推測できるもの、としていう認識をお持ちのことと思います。
そして、妊活をしていく上で基本的なデータとなり、排卵日など、より深く着目するようになっていったと思います。。

「もう知っているよ」ということもあるかもしれませんが、再確認していただければと思います。

人間のカラダの中では、常に代謝によるエネルギー消費が行われているため、体温が産生されています。
特に、安静状態で生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない状態の時の体温を「基礎体温」と呼んでいます。
「基礎体温」という言葉は、女性だけに関係するものと思いがちですが、実は男女関わらず使われる言葉なのです。

女性は毎月生理(月経)がおこります。
これは、”卵胞ホルモン(エストロゲン)” と ”黄体ホルモン(プロゲステロン)” という2種類の女性ホルモンの分泌量の変動によるもので、”生理周期(月経周期)” という周期性の変動によって起こります。
周期はおおよそ28日程度ですが、この周期性のカラダの変動の中で、女性の「基礎体温」にも変動が起こるのです。
このことが、男性と大きく違うところであり、「基礎体温」=「女性特有のもの」という図式が出来上がってしまいました。

基礎体温

いずれにせよ、「基礎体温」を記録することは、見えないカラダの中の状態を知る大きな手がかりになります。

これから妊娠を希望する女性にとって、この「基礎体温」はとても大切な情報となるので、下記の基本的な項目について解説していきます。

  • 基礎体温の測り方・見方
  • 2つの女性ホルモンの特徴と働き
  • 基礎体温でどんなことがわかるのか

意外と知らないこともあるので、ぜひ確認してみてください。

基礎体温の測り方と見方

基礎体温は、婦人体温計を使って計測をする

基礎体温の変動による体温の変動は、0.3~0.5℃程度の微妙な温度としてあらわれます。
この微妙な数値を計測するために、少数点以下第2位まで計測できる「婦人体温計」を使います。
小数点以下第1位までしか計測できない普通の体温計では計測できません。

基礎体温を測る時間・タイミングと測り方のポイント

基礎体温は、生命を維持する最小限のエネルギーだけを消費している状態の体温であると先に説明しました。
本来は就寝中に計測する必要がありますが、寝ている間には計測できないので、朝目覚めた時に計測します。

微妙な体温を把握するために、いくつか注意事項があります。

  1. 体温計は枕元に置いておき、朝、目覚めた直後に、起き上がらずに、横になったままで測る。
    トイレに行った後などでもかまわないが、メモ欄に「トイレ後」などと、記入しておくとよい。
  2. 起床時間がずれても、起きた時に測る。
    毎日の計測時間をメモに記載しておくとよい。
  3. 体温計は、舌の下にしっかり挟んで測る。この時、口をしっかり閉じておく。

測った基礎体温は、表などに記録しグラフ化していきます。

日々の体調の変化や、生活上の変化などを一緒に記載しておくと、からだのバイオリズムをつかむのに役立ちます。
例えば、前日お酒を飲んだ、夜更かしをした、体がかなり疲れている、などといった記録は、とても大切な情報となります。

基礎体温の見方

基礎体温を計測したら、グラフ化してみると全体を把握しやすくなります。
健康な女性では、グラフが ”低温期” と ”高温期” の二相に分かれます。
生理周期が28日だとしたら、”低温期” と ”高温期” は、それぞれ14日ずつに分かれます。

基礎体温グラフ

低温期

妊娠していない時にあらわれる期間です。
月経開始から排卵までの約14日継続します。
低温期の最後には、最低温度を示す日があります。

※ もし、14日以上経過しても体温が上がらず、低温期が続く場合は、排卵が起きていないかもしれません。

高温期

排卵を機に、高温期に入ります。約14日間続きます。
妊娠には、最低10日以上持続する必要があり、かつ、低温期の体温まで下がることなく、高温期が維持できることが必要と考えられています。
また、低温期と高温期の体温差は、0.3℃以上あることが必要とされています。

※ もし、14日以上経っても高温期が続き、生理がこなければ、妊娠している可能性があるかもしれません。

以上のように、体温の変化があり、”高温期” と ”低温期” に分かれている状態を、「基礎体温が二相性になっている」と言い、健康的な状態であることを示しています。

2つの女性ホルモンの特徴と働き

基礎体温は、表面からは見えないカラダの中の状態を推測していくための目安となり、2つの女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の変化を推測することができます。

2つの女性ホルモンについて、簡単に解説します。

卵胞ホルモン(エストロゲン)

エストロゲンは、脳からの指示で卵巣から分泌されるホルモンで、女性らしさをつくるホルモンです。
成長に伴って分泌量が増え、生殖器官を発育、維持させる働きを持っています。

20代で分泌量のピークを迎えますが、その後、卵巣は少しずつ機能が低下し始めます。
45歳で更年期に入ると、分泌量は急激に減少していきます。

生理周期においては、子宮内膜を増殖、厚くする働きがあり、排卵期に最も多く分泌されます。
その後、月経期に向けて分泌量は少なくなります。

黄体ホルモン(プロゲステロン)

排卵を終えた卵胞は黄体という組織に変わり、プロゲステロンが分泌されます。
プロゲステロンは、いわば、妊娠準備のためのホルモンと言えるホルモンです。
基礎体温を上昇させたり、受精卵が子宮内に着床しやすいように子宮内膜をさらに厚くして安定させたり、乳腺を発達させる働きがあります。

妊娠が成立しない場合には、排卵の1週間後ぐらいから分泌量は減少しはじめ、さらに1週間ぐらい経つと、子宮内膜が剥がれ落ちる生理が始まります。

基礎体温からわかること

基礎体温から、さまざまなことが分かります。

妊活に直結する情報

①二相性にならない場合
→生理があっても、ホルモンバランスが悪く、無排卵の可能性があります。

②高温期が10日以上続かない場合、高温期の途中で低温期まで体温が下がる日がある場合、低温期と高温期の差が0.3度以上ない場合など
→ホルモンバランスが悪く、黄体機能不全が疑われます。
黄体機能不全とは、妊娠しにくい状態である、または、妊娠しても妊娠が維持しにくく流産しやすい状態であることをしめします。

その他の情報

①カラダの周期が分かります
●次の生理はいつから?
 →高温期が約14日続いた後に体温が下がりはじめると生理が始まります。

●排卵の有無や妊娠したか?
 →二相性になっていれば、排卵があると推定できます。また、高温期が2週間以上続く場合には、妊娠した可能性があります。

②PMSや憂鬱な時期と上手に付き合えるかも。
生理前の不調の時期が分かれば、スケジュール調整したり、生活のリズムを変えてみたり、上手に付き合えるようになるかもしれません。

基礎体温は、途中で測定できない日があっても、とにかく続けてみなければカラダの情報を読み解くことが出来ません。
もしかしたら、グラフがギザギザになってしまい、二相性なのかどうか、判断に迷うこともあるかもしれませんし、二相性になっていないとショックをうけるかもしれません。
先に解説したように、基礎体温の計測にはいくつかのコツが必要なので、もしかしたら、正しい計測ができていない可能性もあるので、正しい計測ができているか、一度見直してみてください。

基礎体温はある程度の目安ではありますが、女性の体の変化を知る手掛かりとなります。
グラフとメモを活用し、是非、日記のように毎日つけてみて下さい。

万が一、3周期程度継続して計測し、それでも二相性を示さない場合には、病院で受診されることをおすすめいたします。