ふっくらとした体は女性の魅力です。
しかし、肥満となってしまうと話は違います。肥満は、体に悪い影響を与え、不妊症の原因なることもあるのです。
不妊鍼灸(妊活鍼灸)の施術をお受けいただいている患者様の中にも、体型を気にされている方がおられ、体型のせいで不妊症になっているのではないかと心配されている方がいらっしゃいます。

今回は「肥満と不妊の関係」と妊活中であってもできるダイエット方法、そして妊活中ダイエットの注意点についてまとめます。

妊活中のダイエット

肥満を判定する指標はいくつかありますが、代表的な指標にBMI(ボディー・マス・インデックス)があります。
身長と体重から計算する数値ですが、このBMIでは、値が25以上の状態を肥満としています。
BMIの計算方法は、体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}です。

例えば、身長160cmで体重が60kgの人は、60÷(1.6×1.6)=23.4375になります。
BMIは約23で、これは肥満ではありません。

WHOの基準では30以上を肥満としていますが、日本では25を基準としています。
一般的にBMIが25以上になると高血圧や糖尿病などのリスクが高まるといわれています。
高血圧や糖尿病は、妊娠できたとしても妊娠中毒症などのリスクが高まるため避けたいものです。

実は、BMIが25以上になると妊活にも悪い影響があります。
月経不順や、排卵不順になるだけではなく、卵子の質を悪くし、妊娠までたどり着くことが難しくなってしまうのです。
また、一般社団法人日本内分泌学会によると、肥満は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を悪化させます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、妊娠可能な年代の女性のうち約5~8%が発症するといわれる病気で、不妊症の原因のひとつです。

アキュモード鍼灸院で不妊鍼灸(子宝鍼灸)をお受けいただいている患者様の中にも多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と病院で診断をお受けになっている患者様がおられますが、正確なデータをとったわけではありませんが、肥満気味の方が多いような印象があります。
実際に、中にはクリニックの先生からも、少し痩せた方が良いと言われた患者様もおられます。

ダイエットと聞くと美容的なイメージがあり、不妊症とは関係がないように思われるかもしれませんが、妊活を行う上では、肥満ぎみである方(BMIが25以上の方)は、適度なダイエットをすることも、大切な妊活のひとつと言えるかもしれません。

妊活中にできるダイエット方法

肥満は不妊症の原因になる可能性を説明しました。
BMIが25以上の方は、妊活を始めるにあたって、まず適正な体重をめざして無理のないダイエットしてみませんか。

とはいっても、妊活中は過剰な運動、過度な食事制限は厳禁といえます。
過剰な運動は、ホルモンバランスを崩し、妊娠したことに気づかない場合には、流産の恐れがあります。
また、過度な食事制限は、妊娠に必要な栄養素不足を招き、妊娠しずらくなる恐れがあります。

ここからは、妊活中でも取り組める安全なダイエット方法を紹介します。

鍼灸で耳ツボダイエット

基本的なことですが、食事で摂取するエネルギーよりも消費するエネルギーの方が大きくなれば、体重は徐々に減っていきます。
スポーツジムに通って朝から晩まで厳しいトレーニングをすれば、消費エネルギーは大きくなります。
しかし、妊活中は、いつ妊娠するかわかりません。
過激な運動で体に負担を与えてしまっては本末転倒です。

妊活中は、消費エネルギーをあげるよりも、摂取するエネルギーを控えめにする方がいいと言えます。
かといって、食事量を過度に減らしてしまうと、妊娠に必要な栄養素が足らなくなる恐れもあります。
今よりも少しだけ食事量を減らせることが理想なのですが、それがなかなか難しいところかもしれません。

そこでおすすめなのが、耳ツボダイエットです。
耳ツボダイエットは、耳にあるツボ(反射区)を刺激することで、食欲に関係する神経伝達を介して脳の摂食中枢を刺激して、食欲を抑え、食べすぎを防ぎ、食事量を抑えることが期待できます。
また、本来の消化を助け、不要物を体に蓄積されないようにしていきます。

アキュモード鍼灸院では、オプショナルメニューで耳ツボダイエット(約30分)も行っています。
不妊鍼灸とあわせて耳ツボダイエットを行っていただくことをおすすめしています。
もちろん、お身体には個人差がありますので、耳ツボダイエットがあう方/あわない方、反応が良い方/悪い方がいらっしゃいます。
しかし、「ダイエットは苦しくて当たり前」という概念がくつがえる方法の一つではないかと思いますので、まずは一度、お身体にあう/あわないをお試しになってみてください。

ウォーキング

ランニングは消費エネルギーが多い運動ですが、その分身体に負担があり、妊活中は転倒するなどのリスクもあるため、避けた方が良いかもしれません。
これに対し、ウォーキングは身体への負担や転倒するリスクも少なく、運動が苦手な人でも始めやすい運動の1つです。
ウォーキングを続けるコツは、無理のない距離を楽しく歩くことです。
いつもなら行かない道やおしゃれな店が並ぶ大通りは、目からの刺激も多く、想像以上に歩けるものです。

また、ウォーキングは気分転換になり、血行を促進し、卵巣の卵胞や子宮の内膜などへの血液を増加させるので、妊活自体にも良い効果が期待できます。

少し先のことにはなりますが、40歳から閉経までにウォーキング程度の軽い運動を継続して行っていた人は、運動を全くしなかった人や、逆に過激な運動をした人と比べて、更年期の症状が軽かったという研究もあり、軽い運動を継続的に行うことの身体への効果は、多岐にわたることが分かっています。

アキュモード鍼灸院は、東京都港区の青山にあり、最寄り駅は外苑前ですが、表参道や青山一丁目駅からも徒歩圏という環境に恵まれたエリアにあります。
表参道駅を中心とした青山地区には、おしゃれなお店がたくさん建ち並んでおり、ショッピングやカフェが楽しめます。
また、散歩コースに適した神宮外苑の銀杏並木は、当院から徒歩5分圏内にあるので、来院ついでに、自然の四季の移り変わりを感じながらウォーキングをお楽しみいただけます。

耳ツボダイエットとあわせて当院周辺の青山地区をゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。

妊活中ダイエットの注意点

妊活中に行うダイエットは、普段のダイエットとは違った注意点があります。

急激に行うダイエットは危険で、食事を極端に減らすダイエットは避ける必要があります。
早く結果を得たいという思いで、ダイエットを過激に行ってしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、食事制限を極端におこなってしまうと、妊活に必要な栄養素が不足し、エネルギーの不足により、身体が冷え性にもなってしまい、かえって妊娠しにくい身体になってしまう恐れがあります。
また、減量は1ヶ月に体重の0.5割を目安にしてください。
特に体重の1割以上の減量を行ってしまうと、生理が止まるなどのトラブルが起こる可能性があるので、注意が必要です。

食事の面では、できるだけ低カロリーで高たんぱくな食材を使った食事がおすすめです。
と、言うと、肉類が思い浮かぶかもしれませんが、しっかりと加熱していない肉(生ハムやローストビーフなど)は避けた方が良いと言われています。
それは、トキソプラズマの感染症のリスクがあるからです。

トキソプラズマとは、寄生性原生生物(原虫)で、これにより起こされる感染症をトキソプラズマ症といいます。
妊娠中の女性がトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症を発症し、流産や死産となってしまう他、視力障害、精神遅滞、脳性麻痺などのような重い障害をもつ恐れがあるのです。
妊活中は十分中まで加熱した食材を食すように心がける必要があります。

また、近年ダイエットで流行っている糖質制限についてですが、糖質を一切摂らない糖質オフダイエットはおすすめできません。
糖質を全く摂らないと、身体の中での代謝に差しさわりが生じてしまい、うまく代謝ができなくなるため、偏った食生活は避け、妊活中はバランスよく栄養を摂取することが大切です。

BMIが30以上で食事制限が必要な場合は、専門家の指導の下で、運動療法、食事療法など、適切に行うことが大切です。

おわりに

肥満は不妊の原因の一つですので、適正な体重を維持し、肥満である場合は、無理のないダイエットを進めていくことが必要です。
「私は太り気味かも」と心配になったら、自己判断せず客観的な数字で考え、健康的なダイエットで体重管理をしましょう。

追記:
痩せ過ぎもよくありません。
BMIが18以下や、40㎏以下になると、生理不順になったり、生理が停止してしまうこともあるので、肥満、痩せ過ぎに偏ることがないように注意してください。