女性は体を冷やしたらいけないと言われますが、不妊症と冷えにはとても深い関係があるのです。

冷えを表す言葉に、「冷えしょう」という言葉がありますが、「冷え性」と「冷え症」の2つの表記がありますが、どちらも医学用語ではありません。
両者の意味の違いに明確な基準があるわけではありませんが、一般的には「冷え性」の表記が使われるようです。

冷え性と不妊との関係

「冷え性」は、身体の部分的な血行不良によって、手、足、腰などが部分的に冷えている状態を表し、一方の「冷え症」は、主に東洋医学領域で使われることが多いようで、冷えが身体全体に及んでおり、「冷え性」より重いニュアンスがあり、自律神経の不調を伴うことが多いようです。
また、西洋医学では病気など明らかな原因がない場合、冷えは治療の対象ではありませんが、東洋医学からみると「冷えは万病のもと」と言われるように、冷えは治療対象となっています。

アキュモード鍼灸院に来院されている不妊鍼灸(子宝鍼灸)治療をお受けいただいている患者様は、ほぼ100%と言っても過言ではないほど、皆さま冷え症状をお持ちです。
身体の部分的な冷えというより、下半身が冷え切っている方が多いことが特徴かもしれません。

そこで今回は、不妊症と関係が深い冷え性(冷え症)についてわかりやすく解説し、妊活中でもできる冷え対策を紹介していきます。

西洋医学的にみた冷えと不妊症

身体が冷える原因の1つに、血行不良をあげることができます。
血行不良があると、血液の流れによってめぐる女性ホルモンが、卵巣や子宮に届かなくなってしまい、不妊をひき起こしていることがあります。
また、慢性的な冷え性(冷え症)は、内臓の働きを低下させ、内臓から分泌されるホルモンが十分に分泌されなくなってしまい、不妊をひき起こしていることもあります。
いずれにしても、冷え性(冷え症)は妊活がうまく進まなくなる原因となり、不妊を招いてしまいます。

東洋医学的にみた冷えと不妊症

東洋医学では、身体の中に3つの物質「気(エネルギー、活力)・血(血液のような栄養豊富な液体)・津液〔水〕(水分)」があり、食べ物から十分に作り出され、身体の中をめぐっている状態が、健康であると考えています。
ですから、この中の1つでもめぐりが悪くなり、循環不良がおきてしまうと不調が起きてしまいます。
身体の上半身は熱を帯びやすく、下半身は冷えやすい性質があるので、不調の多くには、下半身の冷えを伴うことが多いのです。

女性の不調の根底には下半身の冷えがあり、女性の不調に対して効果的とされる代表的なツボも、下半身に集中しています。
冷え症状は、自覚的に冷えを感じている方が多いのですが、中には自覚的には冷えを感じていないものの、東洋医学的な診方では冷え性(冷え症)であり、触ると冷え切っていることが少なくありません。
実際、不妊鍼灸(子宝鍼灸)の施術をお受けくださる患者様のほとんどの方は冷えをお持ちで、冷えを改善させていく鍼灸治療を行っていきます。
冷えが緩和してきたと自覚される頃、妊活も不思議と良い結果につながっていくことが少なくありません。

寒くなければ冷え性(冷え症)ではないですよね?

不妊鍼灸をお受けくださる患者様から、「私は冷えは感じていないので、冷え性ではないですよね?」とご質問を受けることがあります。
結論から言えば「寒さを感じない冷え性(冷え症)」というものあるので、冷えを感じないからといって、冷え性(冷え症)と決めてかかるのは、少し早いかもしれません。

冷え性(冷え症)の多くの方は、寒がりだったり手足が冷たかったりする「冷えている自覚症状」がありますが、冷えの自覚症状がなくても、触ると実際には冷たく冷えているようなケースはよくあり、患者様も、触られて冷えていることに初めて気づかれることがあります。
また、例えば、頭痛、肩こり、腰痛、むくみなど、女性にはよくある症状で、一見すると「冷え」とは関係がない症状のように思われても、その症状の原因が冷えである場合、冷え性(冷え症)と言うことができます。

冷え性(冷え症)には、さまざまなタイプがあり、タイプごとに自覚症状は違います。
一番わかりやすい冷えは「全身が冷えるタイプ」です。
体温が低めで風邪をひきやすく、身体がつねにだるく感じるようなタイプです。
他にも、冷えの自覚症状が少ない「火照って汗をかきやすく汗で冷えてしまうタイプ」や「体がむくんで冷えてしまうタイプ」などもあります。
まずは自分のタイプを知り、しっかりと対処していくことが、不妊症対策や妊活につながります。
薬を飲めば冷えが改善するわけではありませんし、残念ながら西洋医学では冷えは治療対象外なのです。

アキュモード鍼灸院では、東洋医学と西洋医学の両面から冷えの原因を追究し、冷え性(冷え症)のタイプを見極めます。
そして、ひとり一人のお身体の冷えの病態に適したオーダーメイドの鍼灸療法をご提案しながら、不妊症対策を行ってまいります。

不妊や妊活中にできる冷え対策

冷え性(冷え症)は、不妊症の原因や妊活を妨げたりします。
そして、不妊治療を行ったとしても、なかなか結果に結びづらい環境を作ってしまっている可能性も否定できません。
不妊治療にすべてを頼るのではなく、冷えを自覚して体を冷やさない生活を送ることも妊活では大切なことです。

ここからは、普段の生活でできる冷え対策を紹介します。
体に負担が少ない方法なので妊活中でも取り組むことができます。

体を温める食べ物を食べる

食べ物には、体を温める食べ物と冷やす食べ物があります。
わかりやすく分類すると、夏に旬を迎える食べ物や温暖な地域でとれる食べ物は体を冷やすといわれています。
キュウリ、ナス、ピーマン、スイカ、柿などは、体を冷やします。
反対に、体を温める食べ物は、ゴボウやカボチャのように冬に旬を迎える食べ物です。
寒い地方で食べられている郷土料理には体を温めるものが多いため、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

首とお腹と三陰交を温める

ここ数年、冬になると首にマフラーを巻き、お腹には腹巻くことが推奨されています。
これにはきちんとした理由があります。
首の後ろには太い血管が通っていて、太い血管を温めることで血流をよくします。
お腹を温めることは内臓を活発にするためで、内臓が活発に動けば代謝がよくなります。

そして婦人科の諸症状に効果が期待できることで有名な「三陰交(さんいんこう)」というツボは、冷え解消にも効果が期待できます。
ツボの位置は、足首の内くるぶしの骨が一番出ているところから指4本分上です。
レッグウォーマーで足首を温めることは、三陰交を温めることになり、おすすめです。

鍼灸で冷えのツボを刺激する

足首にある三陰交は、冷え解消のツボです。
両手で足首を包み込むようにして親指で押してみるだけで、自分でツボ押しをすることができます。

実はほかにも冷え解消のツボは体にたくさんあります。
お腹の冷え解消には関元や気海や足三里など、腰の冷え解消には天枢や太渓などがあります。
聞きなれないツボの名称が並びましたが、これらの数あるツボを症状から考えて選び出し、適切に刺激することで冷えを楽にすることもできるのです。

アキュモード鍼灸院では、通院による鍼灸ケアだけでなく、ご自宅で簡単にできるツボ押しやストレッチも紹介しています。

温活をする

体をとにかく温めることを、何よりも優先した生活が実は妊活には大切なのです。
今までご紹介したツボのケアに加えて、お灸をケアにプラスしてみませんか。

お灸はドラッグストアやネット通販で購入することができます。
ツボ押しの押圧刺激とは違って、お灸の温熱刺激は、体の深部に伝わり、婦人科の不調の改善にはとても効果的と言われています。
特に、「冷え」⇔「温熱」といった反対の性質による刺激は、自律神経の調整にも効果的と言われます。

アキュモード鍼灸院では、お灸に適したツボのご紹介、お灸のやり方など、お灸を使った温活をご紹介いたします。
なお、アキュモード鍼灸院には、日本で一番大きいお灸メーカーのセネファに登録している“セルフケアサポーター”が多数在籍していますので、お灸についてお気軽にお問合せください。

おわりに

「冷え性(冷え症)は体質だからしょうがない」とあきらめてしまう女性もいます。
しかし冷えは卵巣や子宮を冷やし、女性の体に大きな影響を与え、妊娠を遠ざけている可能性があるかもしれません。

大切なことは、赤ちゃんを迎えやすい体に整えることです。
アキュモード鍼灸院には不妊や冷えに悩む女性が多く来院されています。
臨床経験豊富な女性鍼灸師が、今までに培った経験と丁寧なカウンセリングによって、ひとり一人の冷え症状にあった鍼灸施術をいたします。