鍼灸治療で使う鍼(はり)を、ご覧になったことありますか?
鍼灸治療を受けてみようと思った時に、《鍼は痛い?》、《お灸は火傷するかも?》 → 《なんだかわからないけど怖い》というマイナスイメージが強くなってしまい、鍼灸院への敷居がくなってしまってはいないでしょうか?
このページでは、鍼灸治療で使う鍼について、よく知っていただき、マイナスイメージを払拭していただき、鍼灸院への敷居を少しでも下げていだければと思います。
目次
鍼治療で使う「はり」とは?
《鍼(はり)》というと、《縫い針》や、《注射針》を想像されるかもしれません。
《縫い針》は、糸を通し、《注射針》は、液体を通すことを目的としているので、ある程度の太さが必要ですが、鍼灸で使う鍼は、体を刺激することが目的なので、太さはそれほど必要ではありません。
鍼にはたくさんの種類がある
鍼の種類は、正確にはとてもたくさんあります。
昔の中国の書物には、用途に合わせて9つの種類があると記載されており、私たち鍼灸師は一生懸命憶えさせられました。
しかし、中国に行くと、これらの鍼のレプリカが、標本のようになってお土産屋さんで販売されているのですが、中には9種どころではないたくさんの種類の鍼が並べて標本のようにセットになっているのを見かけます。
どれだけ種類があったのか、また、これらをどのように使い分けしていたのかと不思議に思うこともありまます。
“古代九鍼” と呼ばれる9種類の鍼
現在の日本の鍼灸院で、一般的に使われている鍼は、「毫鍼(ごうしん)」と呼ばれる皮膚に鍼を刺すタイプの鍼と、「鍉鍼(ていしん)」と呼ばれる皮膚に鍼を刺さず、擦る、押すなどの使い方をするタイプの鍼の2種類ですが、一般的に「鍼」と言った時、多くは「毫鍼」をさし示めします。
「毫鍼」は、太さ、細さもさまざまですが、形状としては、いわゆる針に指でつまむ部分がついていると言えばイメージしていただけるかと思います。
「鍉鍼」は、形がさまざまで、棒状のもの、ほうきのような形状、銀杏の葉のような形状、最近では怖くないように、魚や人の形を模した形状なども販売されるようになりました。
今回の鍼とは、毫鍼のことを指すので、毫鍼を鍼と表記いたします。
写真左側が “毫鍼”、右側が “鍉鍼”
日本式? 中国式?
前述した「毫鍼」にも種類があります。
大きく、中国式の《中国鍼(ちゅうごくしん:中国針と書くこともある)》と、日本式の《和鍼(わしん)》があります。
どこがどう違うかというと、鍼をブスッと刺す方法で刺すタイプの鍼が中国鍼で、それに対して、和鍼は、鍼管(しんかん)と呼ぶ鍼を通す筒を使う方法で刺すタイプの鍼です。
左2本が和鍼(日本式鍼)、右2本が中国鍼
以前流行った韓国のドラマの「宮廷女官チャングムの誓い」や日本の必殺仕事人の藤枝梅安が行っていた鍼治療は、《中国鍼》を使っています。
ブスッと刺すには、ある程度の太さが必要なため、太めの鍼を使います。
おおよそ0.3~0.4ミリ程の直径の鍼で、中には縫い針程度の太さのものもあります。
中国鍼は、鉛筆のように持って刺す鍼なので、取っ手の柄の部分が和鍼に比べて長めです。
また、柄の先端は、丸いボール状の竜頭(りゅうず)が付いているものがついていることが、和鍼と見た目が違います。
それに対し《和鍼》は、刺す時に真っ直ぐに刺せるように鍼管を使うので、太さは必要なく、0.1ミリ程で髪の毛くらいに細い鍼です。
江戸時代の徳川綱吉の侍医だった杉山和一という鍼灸師が、なるべく痛くなく鍼を刺すために考案した鍼管を使うことで、鍼を細くすることが可能となったもので、この鍼管を使う鍼の刺し方は日本独自のやり方です。
和鍼は、中国鍼のように全て金属製のものもありますが、写真のように柄の部分がプラスチックになっており、鍼の太さ別に色分けされているものが主流となっています。
一般的に言えば、太い鍼の《中国鍼》の方が、細い鍼の《和鍼》より、刺激が強く、痛みを感じやすいかもしれません。
使う鍼の種類、施術のアプローチの方法(流派)によっても違いがありますが、《中国鍼》を使う鍼灸施術では、得気(とっき)といって、あえて刺激を加えて鍼を刺した部分を響かせる(痛みに近い刺されたとわかる感覚)という施術をすることが特徴です。
それに対して、《和鍼》を使う施術では、無痛に近い施術を行うことが多く、さまざまな女性の不調改善のための鍼灸に向いていると思います。
患者様のお好みがあるので、どちらが良いということは言えませんが、もし鍼灸を初めてお受けになってみようと思われるなら、まずは《和鍼》を使用している鍼灸院をお勧めいたします。
アキュモード鍼灸院では、《和鍼》を使ってマイルドな鍼灸施術を行っています。
辛い痛みや痺れなどの症状があるケースでは、ご相談の上、時に響かせる手技を加えることもあります。
健康管理にぜひ鍼灸をお試しください。