ホーム>コラム>妊活・不妊>妊活中に気になるコーヒーのカフェイン

コーヒー好きの方が妊活をはじめたら、コーヒーに含まれるカフェインが不妊症の原因になるのではないか?と、心配される方がおられるのではないでしょうか。

このページでは、コーヒーなどに含まれるカフェインが妊活に悪影響があるのかどうか、そして、上手な付き合い方をご紹介していきますので、お役立ていただければと思います。

コーヒーとカフェイン

カフェインとは?

カフェイン(米:Caffeine)は、ドイツ人の化学者/薬剤師のフリードリップ・フェルディナント・ルンゲによってコーヒー(英:Coffee)から分離一成分です。
コーヒーから分離されたことからカフェイン(独:Coffein)と命名されました。

とは言え、カフェインはコーヒー独自の成分ではなく、緑茶、ウーロン茶、紅茶などのお茶類や、栄養ドリンク、コーラ、チョコレート、ココアなどにも含まれています。

また、無水カフェインは医薬品に利用されており、総合感冒薬や鎮痛薬に配合されているとても身近なものです。

カフェイン抽出

食品中のカフェイン濃度

では、どのくらいの量のカフェインが食品に含まれているのでしょうか。
とても気になるところだと思います。
食品に含まれているカフェインの量を表にまとめました。
ご参考になさってください。

この表から、次の順にカフェインが多いことが分かります。

  1. エナジードリンク又は眠気覚まし用飲料
  2. 玉露
  3. コーヒー
食品のカフェイン含有量

カフェインがカラダに及ぼす作用

では、カフェインはカラダにどのような作用をするのでしょうか。
どのような作用が、カラダに悪影響を及ぼすのでしょうか。

カフェインの作用

カフェインには、一言で言うと“中枢神経系に対する興奮作用”があります。
詳しく言うと、カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つ“アデノシン”という物質と化学構造が似ており、本来アデノシンが結合するアデノシン受容体と結合し、アデノシンの働きを阻害してしまい、逆に神経を興奮させるのだそうです。

この興奮作用によって、カラダには、覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用が起こります。
コーヒーを飲むと、眠気覚ましになる反面、トイレが近くなる…といったご経験、お持ちではないでしょうか。

また、適量の摂取であれば、疲労や眠気を軽減する、集中力や記憶力を高める、パフォーマンスを向上させるなど、良い効果についても報告されています。

カフェイン、コーヒー豆

カフェインの副作用

カフェインの摂り過ぎにより、次のような副作用が起きることがあります。

  • 中枢神経系が過剰に刺激されることによる副作用
    めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠など。
  • 消化器管の刺激による副作用
    下痢や吐き気、嘔吐など。

また、コーヒーや、栄養ドリンクの飲みすぎなどでカフェインを繰り返し摂取すると、軽い精神的依存が起こり、カフェイン依存症になることがあります。
依存症になってしまった場合、カフェインの禁断症状として、頭痛、短気、集中欠如、疲労感、過眠、胃・上半身・関節の痛みなどが起きることもあります。

副作用

妊婦のカフェイン摂取に関する
各国の注意喚起

カフェインを過剰に摂取した場合には、健康被害をもたらすことがあるので、特に妊婦のカフェインの摂取に関して、国際機関などにおいて注意喚起等がなされています。

注意caution

世界保健機関(WHO)

2001(平成13)年に公表した「Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding (BookletFor Mothers)2001」において、以下の見解を示しています。

  • 紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれている。
  • このため、カフェインの胎児への影響についてはまだ確定していないが、妊婦はコーヒーの摂取量を1日3~4杯までにすべきである。

【出典】Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding,Booklet for mothers,2001

米国食品医薬品局(FDA)

健康な大人では、1日当たり400 mg(コーヒーでは4~5カップ程度)までであれば、カフェインによる健康への危険な悪影響はないとしています。
ただし、妊婦、授乳婦、妊娠予定の方や服薬している方は、カフェインの摂取による影響を受けやすくなる場合があるため、かかりつけ医に相談することが推奨されています。
また、FDAでは子どもでのガイダンス値を設定していませんが、米国小児科学会(AAP)は、子供はカフェインを含めた刺激物の摂取を抑制すべきとしています。

【出典】Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?

また、アメリカ産婦人科委員会(ACOG)は、妊娠中の女性のカフェインの摂取は、1日当たり200 mgまでは安全であると2010年に示しています。

英国食品基準庁(FSA)

2008( 平成20)年に、妊婦のカフェイン摂取に関して次のように示しています。
妊婦がカフェインを取り過ぎると、胎児の成育に影響が及び、出生時は低体重となって、将来の健康リスクが高くなる可能性があるので、妊婦は一日当たりのカフェイン摂取量を200 mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう求めています。
また、高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性があるとしています。

【出典】Pregnant women advised to limit caffeine consumption

欧州食品安全機関(EFSA)

2015年にカフェインについてリスク評価を実施し、以下の見解を示している。

  • 妊婦を除いた健康な成人:カフェイン摂取量が3mg/kg体重であれば急性毒性の懸念はないとし、これから、体重70kgの大人であれば、1回当たり200mgのカフェイン摂取であれば健康リスクは増加しない。
    習慣的なカフェイン摂取に関しては、1日当たり400mgまでであれば健康リスクは増加しない。
  • 妊婦および授乳中の方:習慣的なカフェイン摂取に関し1日当たり200 mgまでであれば、胎児や乳児の健康リスクは増加しない。
  • 子供:長期的・習慣的なカフェイン摂取に関する研究が少なく不確実性が残るものの、大人と同様、3mg/kg体重/日であれば悪影響が見られないと推測される。

【出典】Scientific Opinion on the safety of caffeine

カナダ保健省(HC)

2010(平成22)年にカフェイン摂取について以下の注意喚起をしています。

  • 少量のカフェイン摂取であれば健康リスクの懸念はないが、過剰摂取は不眠症、頭痛、イライラ感、脱水症、緊張感を引き起こすため、特に子供や妊婦、授乳中の女性は注意すること。
  • 健康な成人は最大400 mg/日(コーヒーを237ml入りのマグカップで約3杯)までとする。
  • カフェインの影響が通常より大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は最大300 mg/日(マグカップで約2杯)までとする。
  • カフェインが児童の成長を妨げるという根拠はないものの、子供はカフェインに対する感受性が高いため、4歳~6歳の子供は最大45mg/日、7歳~9歳の子供は最大62.5mg/日、10歳~12歳の子供は最大85mg/日(355ml入り缶コーラ1~2本に相当)までとする。
  • 13 歳以上の青少年については、データが不十分なため、確定した勧告は作成していないが、1日当たり2.5mg/kg 体重以上のカフェインを摂取しないこと。

【出典】Health Canada Reminds Canadians to Manage Caffeine Consumption(2010)

日本(農林水産省)の注意勧告

農林水産省は「カフェインの過剰摂取について」のページの中で、次のような注意勧告を示しています。

  • エナジードリンクの多用により中毒死した例もあり、過剰摂取による健康への悪影響が知られています。このように、食品や飲料に含まれる特定の成分の過剰摂取には注意が必要です。
  • 眠気覚ましなどをうたってカフェインを添加した清涼飲料水が多数販売されていますが、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。飲み過ぎに注意しましょう。

しかし、残念ながら、日本ではカフェインの摂取量に関する具体的な数値などの基準はありません。

カフェイン過剰摂取の影響

過剰にカフェインを摂取する妊婦からは、低体重児が出生したり、あるいは、流産の割合が増加するとの報告があります。
【出典】佐藤 哲男・仮家 公夫・北田 光一(編集)『医薬品トキシコロジー(改訂第3版)』 p.63 南江堂 2006年4月15日

コーヒーとの付き合い方

各国の注意喚起ばかりを並べてしまいましたが、本ページの「不妊症の原因になるかどうか」という当初の疑問に関しての答えとしては、“卵子の成熟”や“受精卵の着床”といった妊娠への過程の部分においては、コーヒー(カフェイン)との関連性を示すデータは示されていません。

しかし、妊娠後、“流産を引き起こす可能性”と、“妊娠中の胎児への影響”があることは示されているので、やはり、妊活を始めようと思っている方、妊活中の方、不妊治療を行っている方、さらには、妊娠中の方、授乳中の方は、カフェインの摂り過ぎには十分注意が必要と言えます。

お茶
  • 妊娠中の方は、臍帯を通して胎児にカフェインがめぐり、影響があるだけではなく、流産を引き起こす可能性があります。
  • 授乳中の方は、母乳にカフェインが含まれることになり、赤ちゃんが飲むことになって、中枢神経に影響を及ぼす可能性があります。

国際機関の注意喚起から判断すると、コーヒーで言うとカフェインの摂取は、マグカップ2杯までに制限した方がよさそうです。

ただし、この“マグカップ2杯”という数字は、欧米機関が示した数値です。
欧米人は昔よりコーヒーを飲む習慣があるのに対して、日本人がコーヒーを飲む習慣が定着してきたのは最近のことです。
欧米人と日本人を比較すると、体質や体格などで、もしかしたらコーヒー(カフェイン)に対する耐性が少ない可能性があるかもしれないので、鵜呑みにして良いのか、疑問が残ります。

日本ではカフェインの適正な摂取量について、明確な数字が示されていないので、欧米の示した数値を参考値とするしかないのですが、“マグカップ2杯”よりできるだけ少量で、なおかつ、薄めにしたものを飲むことが無難だと考えます。

また、カフェインはコーヒーにだけに含有されているものではなく、カフェインを含む他のお茶類、飲み物を飲む場合には、足し算をしていかなくてはなりません。
特に栄養ドリンクにはコーヒーよりも多いカフェインが含まれていることがあるので、購入の際には、裏書をよく見る必要があります。

おすすめの飲み物
カフェインレスの飲み物

妊活前に、コーヒーやお茶などを日常的に飲んでいた方にとって、妊活後の飲み物に困ってしまうこともあるかもしれません。
一番無難なものは“水”ですが、味気なく感じてしまいがちですね。

おすすめの飲み物は、以下のようなノンカフェイン(カフェインレス)の飲み物です。

  • 麦茶:日本人であれば、幼少期から一番飲み慣れているものではないでしょうか。
    麦茶には、ナトリウムやカリウム、カルシウム、リン、亜鉛などといったミネラルが含まれており、水分補給にはとても便利な飲み物です。
麦茶
  • そば茶:そばの実を使ったお茶なので、そばアレルギーの方は飲めませんが、血流を促進するルチンという成分が含まれています。
  • ルイボスティー:マメ科の植物ルイボスを発酵させたものが(レッド)ルイボスティーです。通常は少し味にクセがありますが、発酵の程度によって味や香りが変わります。マグネシウム、カリウムをはじめとしたミネラルの他、抗酸化作用が含まれており、近年人気のある飲み物です。
  • ハイビスカスティー:ハイビスカスの花を使ったお茶です。酸味のあるきれいな赤い色をした飲み物です。ビタミンCが豊富に含まれています。
  • カフェインレスのコーヒー、カフェインレスの紅茶:最近では、カフェインレスのコーヒーや紅茶も販売されています。嗜好を変えることが難しい場合、重宝する飲み物ですね。